不動産を購入する場合、方法は2種類あります。
1つは「売主」から購入する方法。
そしてもう1つは「仲介」で購入する方法です。
売主物件と仲介物件の違いを知らずに目先の金額や利回りだけで判断してしまうと、安定した収入を得られないということにもなりかねません。
購入にかかる諸費用も違いますし、当然リスクにも違いがあります。
売主物件が良いのか、はたまた仲介物件が良いのか。
もちろんそれぞれにメリット・デメリットがあります。まずはしっかり違いを知ることが大切です。
売主物件とは
売主物件とは、不動産会社から直接購入できる物件です。
不動産会社自ら物件を購入し、エンドユーザーへ直接売却します。
不動産会社が購入した金額よりも高く売却することや管理委託費用で利益を得ています。
仲介物件とは
仲介物件とは、売主と買主の間を不動産会社が仲介している物件です。
物件自体は不動産会社のものではなく、別に売主(エンドユーザー)が存在します。
不動産会社はあくまでも間を取り持つ(仲介)だけです。
不動産会社は売主物件のように売却による利益ではなく、仲介手数料として収入を得ることになります。
ちなみに仲介手数料は売買価格によって異なりますが、「物件価格×3%+6万」ほどが必要になります。
つまり違いは、売主から直接購入するのが「売主物件」、売主から直接ではなく、不動産会社を仲介して購入するのが「仲介物件」ということです。
では次に、それぞれの特徴を見ていきましょう。
売主物件の特徴
まず1つ目の特徴は、売主物件の大きなメリットと言える、売主である不動産会社が提携している金融機関を使えることです。
そのため、自己資金があまりない方でも購入することができます。中には頭金0円でも購入可能なケースも少なくありません。
一方で仲介物件の場合は、自己資金だけで購入する、もしくは自分で融資してくれる金融機関を探すことになります。
そもそも個人が不動産を購入するのに融資してくれること自体が難しいですが、仮に見つかったとしても、不動産会社が提携しているケースと比べて金利は非常に高くなってしまいます。
2つ目の特徴は、仲介手数料がかからないことです。
例えば2000万円の物件の場合、約70万円の仲介手数料がかかります。初期費用として準備しなければならない金額に大きな差が出るということです。
逆に手数料を少なめに設定してくれる業者が売主の物件であれば仲介よりも安く買うことも可能です。
3つ目は、瑕疵担保責任を追求しやすい点です。
瑕疵担保責任とは、仮に購入した物件に欠陥(瑕疵)があった際、売主に「直してほしい」と請求できる権利のことです。
売主物件の場合、瑕疵担保責任は2年間保証する義務があります。
新築物件の場合は10年間の瑕疵担保責任が生じます。
一方「仲介」の場合は3ヶ月程度が一般的のため、保証してもらえる期間にも大きな違いがあります。
瑕疵担保責任というのは、本来は売主が誰であっても請求できるものです。
ですが、売主が不動産会社ではなくエンドユーザー(一般の方)の場合、なかなか追求が難しいケースも多くあります。
もし建物に問題が合った場合でも泣き寝入りはよく聞きます。
特に築年数が10年を越えてくる場合は建物部分に経年劣化がでてくるため2ヶ月の保証では見えてこない場合も多いです。
リスクの大きさという点においての違いも理解しておくべきでしょう。
リスクについてもう1つ特徴があります。
それは、入居者の情報を知ることができたり、大規模修繕や定期メンテナンスの情報を確認できることです。
不動産会社から直接購入する売主物件じゃなければ、問題のある入居者がいてもなかなかその情報を知ることはできません。
また、定期メンテナンスがあるか、大規模修繕のスケジュールはどうなっているのかも仲介物件で知ることは難しいのです。
物件のTRとは?
あなたは、物件のTR(トラックレコード)という言葉をご存知でしょうか?
トラックレコード(Track Record)は、日常的に広く使われる用語で、過去の実績や履歴のことをいいます。
不動産投資では、主に不動産物件の賃貸履歴(収支実績・入居率・稼働率等)や建物面の管理履歴(修繕・維持・設備取替等)などのことを指します。
このTRが素人では判断ができませんので、仲介物件の場合、TRが汚い物件を掴まさられるケースが後を絶ちません。
一見安くてお得に見える物件でも、TRを見ると真っ黒ということも多いのです。
中古車で言えば、事故をして修理したのにも関わらずそれを隠しているということです。
ですから、大手ディーラーの認定中古車は過去のオーナーも把握し、修理履歴もしっかりとしているため、高価になるのです。
その分、安心と次に売却するときもしっかりと値段がつきます。
仲介物件の特徴
仲介物件の一番の特徴は、売主物件より価格が安めなことです。
最大のメリットとも言えるでしょう。
ただし、あくまでも物件価格だけを見た場合なので、仲介手数料など諸費用をプラスすると、実際には売主物件よりも高くなるケースもあります。
また、仲介物件のほとんどはネットに公開されています。
売主物件はネットに公開されないので、仲介物件の方が情報収集はしやすいということになります。
物件価格が安く、情報収集もしやすいとなると、仲介物件の方が良いと感じますが、実際にはそうとも限りません。
なぜなら、融資を引きにくいというデメリットがあるからです。
売主物件の特徴でもお伝えしたように、融資が引けないと自己資金も多く必要になりますし、仮に融資を引けたとしても、金利は高く、返済期間も短く設定されてしまいます。
ここまでの話を聞くと、仲介物件を購入できる人は一部のお金に余裕がある人に限られるのでは?と感じるかもしれません。
実際、その予想はあながちはずれてはいません。実は多くの仲介物件を購入しているのは、エンドユーザーではなく不動産会社なのです。
逆に現金を豊富に持っている方であれば、仲介は魅力的なものになります。
もし、TRが汚れていて修繕が必要でも、現金で物件を購入できる資金的な余裕がある方であれば多少の支出(数百万)も問題はありませんよね?
10件も現金で物件を購入していけば平均化されますので結果として良い投資になるはずです。
良い条件の仲介物件は不動産会社に買われてしまう
物件のみの価格は高くても、不動産会社提携の金融機関を使えるために少ない自己資金で購入できる「売主物件」。
一方、物件価格は安くても、多くの自己資金を準備しなければならないなど、購入のハードルが高いのが「仲介物件」です。
その仲介物件の中でも、良い物件の多くは不動産会社が購入しています。
ローンを組まずに現金で購入し、その物件に利益を乗せて「売主物件」として売却しているわけです。
ここからわかることは、多くの良い物件というのは仲介物件にはあまり残らないということです。
不動産業者、つまりプロから見て良い物件というのはすぐに購入されてしまうからです。
必ずしも全てではありませんが、売主物件には利益は乗っているが良い物件が多く、仲介物件にはプロから見て微妙な物件が多く残っているということになります。
まとめ
不動産投資で成功するには、当然ですが良い物件を購入できるかどうかです。不動産には「売主物件」と「仲介物件」の2種類がありますが、微妙な物件が多く残っている仲介物件で安定した収益を出すのは難しいでしょう。
もちろん売主物件の全てが良い物件とはかぎりません。
上でも述べたように投資資金が豊富(億単位)で現金での購入ができるのであれば、仲介も魅力的になります。
ですが、不動産のプロが選んでいるという点からすると、売主物件の方が仲介物件よりも収支が安定しやすい物件は多いと言えるでしょう。
言い換えれば売りやすくて価値が担保されやすい物件を売っているわけです。
どちらにもメリット・デメリットはありますし、どれだけの自己資金を用意できるかなどにもよります。
ですが、ローン利用前提の場合は価格だけで判断せず、それぞれの特徴やリスクを踏まえて物件は選ぶべきということは、しっかりと理解しておきましょう。