不動産投資をする際に「サブリース」を利用することが一般化してきています。都内ワンルームマンションでもデフォルト(初期)で設定している会社も増えています。
サブリースを簡単に言うと「家賃保証」になります。空室時でも家賃を保証してくれるという一見素晴らしいシステムです。某大手不動産会社でも宣伝しているので、安心・安全なものだと思いがちです。
しかし、サブリースのメリットが発揮されるのは「空室が長期的に発生した時」のみです。このメリット、よく考えるとおかしいですよね。空室が長期的に発生する可能性がある物件を、買いたいと思いますか?
おまけに、東京都内のワンルームマンションの平均入居率は95%以上※と言われています。5%でも空室の可能性がある場合は、サブリース契約をした方がお得なのでしょうか。
※公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 賃貸住宅市場景況感調査より
今回は、東京都内でサブリースを組むことにメリットがあるのかどうか、入居率、収支の観点からお話していきます。
サブリースの本質が分かると、都内では不要なことが分かります!
結論から申し上げると、都内ワンルームマンションでサブリースを組む必要はありません。最初から都内ワンルームマンションでサブリースを勧めてくる業者がいたら、その物件、またはその業者が悪質だと捉えて良いでしょう。
まずはその理由を簡単にお伝えし、そのあと詳しく説明していきます。
入居率平均95%の都内ワンルームマンションにサブリースは必要なのか?
まずは都内ワンルームマンションの主な特徴を5つ挙げます。途中、計算が出てくるため、こちらを前提にして読み進めてもらえると理解しやすいかと思います。
- 都内ワンルームマンションの平均空室率は5%
- 日数になおすと2年間で約1ヶ月空室になっている計算になる
- 賃貸物件は必ず退去が出るもの
- 1ヶ月とは退去→修繕→入居までにかかる平均的な時間
- 賃料の発生しない1ヶ月は礼金でカバーできる
東京都内のワンルームマンションの入居率は平均95%です。つまり、空室率5%と言い換えられます。
でも、空室率に5%の可能性があるなら、多少高い手数料を払っても、空室率0%のサブリースを組んだ方がリスクがないのでは?と、用心深い方がいるといけないので、空室率5%がどれくらいの日数に該当するのかを計算してみました。
この5%を日数に直してみると、365日×5%=18日だということが分かります。つまり空室率5%とは、2年間で36日間ということになります。ということは、2年間の契約期間の中で、約1か月間空室になる可能性があるという計算になります。
しかし、都内ワンルームマンションにおいては、この1ヶ月の空室期間は礼金で賄えるので、特に気にすることはありません。
賃貸マンションを借りたことがある方ならお分かりになると思いますが、マンションは2年契約が一般的です。つまり、2年に1度、入居者が更新または退去を考える時期が必ず来るのです。住み続ける場合は更新料を支払い、更新しない場合は退去となります。
後者の退去となった場合、入居者が引っ越し、原状回復(修繕)をし、次の入居者が入居できるように準備します。その状態になるまでに3週間~約1ヶ月掛かります。つまりこの空室率5%(2年間で約1ヶ月)という数字は、単純に退去・修繕・入居に必要な1ヶ月と捉えて良いでしょう。
また、空室期間が1ヶ月しかないということは、すぐに次の入居者が決まっているという証でもあります。そして、新しい入居者が決まれば、礼金を1ヶ月分支払ってもらうのが一般的です。つまり、空室だった1ヶ月分の家賃はほぼ礼金でカバーできてしまうのです。
老舗新築ディベロッパーから物件を購入すると入居率平均が98%にアップ!
老舗新築ディベロッパー業者の管理する物件においては、入居率98%台をキープしている物件もあります。98%の入居率がキープできる仕組みとしては、退去が出た場合、そのディベロッパーが自社の施工会社を持っていて修繕のスケジュールを優先的にしてくれるためです。
そうすると、修繕にそこまで日数を取らず、2週間程度で次の入居者を入居させることが可能になります。このようなことから、入居率98%という高い数字が保てていることが分かります。
つまり、都内ワンルームマンションは空室で家賃収入をロスすることがほぼないと言えます。この時点で、サブリースが不要なことが明確ですが、念のため都内でサブリースを組んだ場合と、そうでない場合の収支にどれくらい差が出るのかを比較していきます。
サブリースするかしないかで、収支に結局どれくらい差が出るの?
項目 | 一般管理 | サブリース契約 |
---|---|---|
家賃収入 | 10万円 | 9万円(保証) |
管理手数料 | 5% 5,000円 |
10% 9,000円 |
礼金 | 10万円 (家賃1ヶ月分) |
0円 |
年間家賃収入 | 120万円 | 108万円 |
年間管理手数料 | 6万円 | 10.8万円 |
年間収支※ (賃料+管理費+礼金1回分) ※ローン・積立金除く |
124万円 | 97.2万円 |
家賃が月10万円取れる物件での比較です。一般管理の場合は、設定した家賃10万円が収入になり、そこから管理手数料が5%引かれます。
一方、サブリースの場合はサブリース会社が入居者を付けやすくするために低めに家賃設定をします。この物件だと9万円です。つまり実際取れるはずの賃料の8~9割しか収入にならず、更に賃料の10%が手数料として引かれます。
収入、手数料、礼金のありなりの違いから一般管理とサブリース契約では年間26.8万円の収支の差が出ることがわかります。
これが空室ばかりの物件でしたらサブリース契約をしたメリットがありますが、前半でお話した通り、東京都内は空室になることがほぼありません。つまり、オーナーにメリットは一切ないのです。老舗新築ディベロッパーから買っていればなおさらです。
仮に空室が出たとしても、年間で2.7か月(81日)以上の空室が出ない限り、マイナスにはなりません。このことからも、都内ワンルームマンションにサブリース契約が不要なことがお分かりいただけましたでしょうか。
都内ワンルームマンションでサブリースをしていいのは楽したい人のみ。少しでも損したくない・稼ぎたい人は集金代行に
では、都内のワンルームマンションでもサブリースをすることにメリットがある人について考えたいと思います。それは、都内にワンルームマンションを10部屋以上を持っていて「管理を楽にしたい人」です。
10部屋以上持つと、毎日とは言いませんが、管理会社から確認事項や報告の電話がかかってくるようになります。そういった面倒から解放されたければ、サブリース契約を結んでもいいでしょう。しかしこのレベルに到達するには現金買いをしたり、よっぽど属性が良くない限りなりません。
また、稀なケースではありますが「1ヶ月でも空室が出たらローン返済ができずに破産してしまう」という状況の場合もサブリースは検討しても良いでしょう。しかし、そんな状態でワンルームマンション投資を継続するべきではないのですが、最悪の場合はそういった利用方法もあります。
先ほどの収支計算でもわかりましたが、サブリースを組んでしまうと、とてつもない損をしている可能性があります。そのため、少しでもキャッシュフローが欲しいと考えている方は契約しないことです。
また、サブリースを組んでしまってから解約しようとすると、半年以上前の通知義務や、法外な解約金を請求されてしまう可能性があります。(2年間分の手数料を違約金としている業者もいます)
都内ワンルームマンションにおいては、そもそもサブリース契約を結ばないことが賢明です。
まとめ
どんな商売にでも当てはまりますが、業者が儲からないサービスや商品はこの世に存在しません。サブリースは一見オーナーにのみメリットがあるサービスとみられますが、実は業者しか儲からない仕組みになっています。
また、冒頭でもお伝えしましたが、サブリースを契約する人は「空室が発生する可能性があるから」契約を結んでいるわけです。つまり、そんなリスクのある物件はどんなサービスや保証がついていようが、買ってはいけません。