「新築と中古どっちがいいのだろう」不動産投資を検討する際に、ほとんどの方が比較・検討すると思います。
一般的に、新品=高い、中古=安いというイメージがありますが、不動産においてはイコールではありません。時間が経つにつれて価値自体は下がっていきますが、業者の利益の乗せ方によっては、新築より中古の方が高くなっている可能性もあります。
この記事では都内のワンルームマンションを題材に記載しています。新築業者はディベロッパー(建物を建設して販売する会社)とします。ディベロッパーでない、新築物件を仕入れての販売する業者は言語道断でかなり利益を乗せています。
資産形成目的のワンルームマンション投資の本質を理解した上で、新築と中古はどっちがお得なのかということをお伝えしていこうと思います。
新築と中古、結局どっちが優良?
まず、新築と中古を比べると、真っ先に比較されているものは販売価格でしょう。販売価格を比較した場合は、大体の場合で中古に軍配が上がります。
しかし、不動産投資の本質を考え比較した場合は結果が異なります。不動産投資は「購入価格が安い=優良」ではないのです。そのため、不動産投資の本質を理解したうえで新築と中古、どちらが優良かを判断するべきです。
この本質を理解する上で重要なのが「①購入時にかかる諸経費」と「②売却益」の観点です。
①の諸経費については、一般的に知られていないカラクリをお伝えします。②については、不動産投資の最後の出口(利益確定)は売却益となります。つまり、売却益が出る物件ほど優良だと判断して良いでしょう。
それでは早速、不動産投資をするにあたり、新築と中古どちらが優良なのかを比較していきます。
新築VS中古①:新築の方が諸経費を100~200万円も抑えられる!
新築マンションと中古マンションを比較し、どちらを購入しようか迷っているとき、まず目に留まるのが販売価格です。
新築の場合は業者(ディベロッパー)の利益が多く乗っていそうなイメージがあります。それに対し、同じようなエリア・規模であれば築年数が経っている方が安く売りに出されています。つまり、業者の利益がそこまで乗っていないのかな?と考えますよね。
確かに、新築マンションにはデベロッパーの利益が乗っています。しかし、それは中古マンションでも同じことで、業者が安く仕入れ、利益を乗せて販売しています。そのため、結局、新築であれ中古であれ「業者の利益がのった物件」を購入することになるのです。
つまり「新築=損」「中古=お得」ということではないことが言えます。ここまでは少し不動産投資について勉強している方ならご存知かもしれません。しかし、次の販売価格の内訳についての話は、実際に物件を買ったことのある人にしかわからない話になります。
新築と中古では、販売価格の内訳に大きな違いがあるのです。以下の図をご覧ください。
ワンルームマンションの販売価格の内訳には大きく「仕入れ値」「業者利益」「諸経費」が入っています。
諸経費と一括りにされていますが、その中身については明細を確認してみてください。実はこの諸経費の中身は「登記費用、印紙代、司法書士への報酬、ローン手数料」といった公共、士業、銀行に払うお金がほとんどでです。つまり一切割引ができないものばかりなのです。
しかし、新築ディベロッパーはこの本来割引が効かない諸経費を簡単に「サービスしますね!」と負担してくれるケースがほとんどです。そのため、購入者は割引しやすいものだと思ってしまい、有難味を感じにくいのです。(サービスしてくれる理由は後ほど説明します。)
一方、中古ワンルームマンション業者は、諸経費を販売価格に入れ込んでいることがほとんどです。もちろん中には新築のようにサービスをしてくれている業者もありますが、ほぼ販売価格に入ってしまっています。しかもあえてわかりにくいようにしています。
この「諸経費」は100~200万円が相場です。つまりディベロッパーから購入した場合、100~200万円を業者が負担してくれていることになるのです。一方、中古マンションは一見価格は安いですが、販売価格の中に諸経費が含まれています。
つまり中古物件を購入する場合、結局のところ諸経費が自己負担になり、購入価格は抑えられても「お得」ではないことが多いのです。また、売主物件と異なり購入後のアフターフォローがありません(通常3ヶ月ほど)。中古業者ではできて賃貸管理までです。
そのため、購入後のトラブルがよくあり(実際は瑕疵物件だった、住人が不良住人だったなど)、初心者にはお勧めができない購入方法だと言えます。
一方、ディベロッパーは建物管理や賃貸管理を自社で行います。物件を売った利益だけではなく管理費も十分な収益源となります。収益の出処を考えると自ずと諸経費をサービスできる理由がわかりますね。
新築VS中古②:新築の方が売却益が出るまでの期間が短い!
不動産投資の最終的な利益確定は、売却した時に決まります。ワンルームマンション投資の場合は持ち続けることが前提ではありますが、資産価値が落ちにくいことから、売却益も出やすい投資商品です。
現金が急に必要になってしまった場合、売却益がでたらうれしいですよね。(もちろん適正価格で買った場合の話ですが)金融商品の用語を借りると「元本割れしない」と表現できます。(元本とは購入価格ではなくローン残債と定義します)
新築と中古で、どれくらいの違いがあるのか、表を使って説明していきます。同じ物件を新築で買うか、15年後に中古物件として買うかでどのような違いが出るのか比較しました。
新築で購入した場合、築5年も過ぎれば売却益が出る
先ほども業者の利益の話をしましたが、真っ当な業者では販売価格の大体1割~2割が業者の利益です。そのため、残債と、相場(資産価値)が重なり合うところが残債と資産価値の損益分岐点になります。
一般的に、新築の場合は築5年~8年で残債が資産価値を下回ります。つまり、築年数からあまり時間をかけずに残債より高い資産価値を手に入れられる計算になります。これ以降は残債と相場の差額分だけ売却益が増えていく計算になっていきます。
この想定売却益のことを「含み益」と言います。含み益がどれくらいになったのか、毎年楽しみに見ているオーナーも多くいます。
中古で購入した場合、売却益が出るのは築25年以降になってしまう
一方、中古で買った場合、販売価格は2,900万円になり、新築より価格は下回りますが、損益分岐点に行きつくまでに8~10年を要します。ローンの金利も新築時より高くなるため、毎月の返済額が高くなってしまいます。つまり残債が減りにくいということです。
更に、築年数は経過していくので、売却益が出る頃には築22年以上が経過しており、修繕する必要が出てくる時期になります。
物件を高く売るには修繕が必要となってきますので、別途、経費が掛かってきます。その時100万円以上経費が掛かってしまったら、中古で買った意味がなくなってしまいます。
中古は新築に比べて販売価格は下がります。しかし、売却益が出るまでにかかる時間(資産価値と残債の損益分岐点)で考えると、とても大きな違いが出ます。目先の数百万円を取るか、早めに損益分岐点を迎えることをとるか、これが中古と新築の違いだと言えます。
まとめ
価格からではなく、ワンルームマンション投資の本質を理解した上で総合的な判断をすると、新築ワンルームマンションの方が断然お得だということがお分かりいただけましたでしょうか。アフターフォローについても、ディベロッパーが最初から最後まできちんと面倒を見てくれるので、心強いと言えます。
中古の場合、お伝えした購入金額の話の他に、積立金の引き継ぎや修繕の実施履歴など面倒なことが多いです。
とは言え、中古を買っていい状況があるとすれば「このエリアのこのマンションが欲しい!」という狙いがある場合は細目に情報収集し、購入しても良いでしょう。しかし、このような特別な要望がない限りは都内の新築物件を購入することをおすすめします。
早く物件を保有すれば、その分損益分岐も早く迎えられるので、含み益を見るのが楽しくなりますね。