旦那様が購入されたワンルームマンションには「団体信用生命保険」なる生命保険がかけられていました。その生命保険のおかげで、遺された奥様はお子様と前向きに暮らされています。
団体信用生命保険
団体信用生命保険とは、ローン契約者が死亡·高度障害状態になったときに、残りのローンを肩代わりしてくれる不動産ローン専用の生命保険です。略して「団信」と言われたりもします。
今回のインタビュー先は、オーナーさんではなく、そのオーナーさんと公私にわたりお付き合いされていた不動産会社の営業T.Y.(以降、Yさんと呼びます)さんです。
ワンルームマンションで救われた、あるご家族の話をご紹介します。
※以下の情報は、2017年7月時点のものです。
オーナープロフィール
- 元勤務先:証券会社(IT職)
- 当時年齢:32歳
- 当時年収:870万円(退職直前)
- 家族構成:既婚(子供1人)
投資実績
- 2009年(27歳):品川区にある「新築ワンルームマンションA」購入
- 2009年(27歳):新宿区にある「新築ワンルームマンションB」購入
- 2009年(27歳):文京区にある「新築ワンルームマンションC」購入
- 2010年(28歳):江東区にある「新築ワンルームマンションD」購入
インタビュー内容
いつもお世話になっています。はい、以前お話させていただいたAさんの話ですよね。
Aさん(仮名)とは仲が良く、営業マン·お客様の垣根を越えてお付き合いさせていただいてました。Aさんは子供の頃からサッカー少年だったそうで、社会人になってからはよくフットサルをされていました。私もよくお誘いいただき、月に何度かご一緒しておりました。
その元気なAさんが、32歳のある朝、急に亡くなられたのです。死因は「虚血性心疾患」とのこと。私は、その一週間前にAさんと食事に行き、その4週間後に開催されるフットサルの試合について語り合っていました。
でも、フットサルの試合で彼と会うより前に、Aさんの奥様から私の携帯に電話がかかったきたんです。
「主人が急に亡くなってしまい、主人が残した遺書が入っている封筒の中に、あなたの名刺が入っていた」と伝えられました。
はい、Aさんは結婚される前からワンルームマンションを経営されていたんですが、結婚後もそれを奥様にはお話されようとはしなかったんです。今思えば、もっと私から背中を押すべきでした。
が、Aさんは「妻は住宅ローンですら心配していた。住宅以外に大きな借金があるのを私が隠していたとなると、必ず大ケンカになる」とかたくなで、奥様にワンルームマンションのことは一切伏せていたようです。そういう背景もあり、私はAさんの奥様とは一切の面識がありませんでした。
団信には手続期限がありますから、それを過ぎてしまうと生命保険が適用されないリスクがあります。
いくら遺書があるといっても、それを見過ごす可能性もゼロではありませんよね。家族のことを本当に想うのであれば、やはり奥様には事前に伝えておくべきだと私は思います。
それはそうと、奥様からYさんに電話がかかってきて、その後どうなりましたか?
それが、、、結構大変でした。。
電話口で多くは語るまいと思い「旦那さまから言づてを承っています。非常に大切なことなので、すぐにでもご自宅に伺わせてください」とだけ伝えました。
その結果、翌日にご自宅に伺うことができたのですが、
- 私が投資用ワンルームマンションの営業マンであること
- 旦那様が私から4件のワンルームマンションを購入されていたこと
- さらにそれを奥様に内緒にされていたこと
をお伝えすると、奥様の顔色が急に変わり始めました。
変わり始めたと同時に「すぐにお帰りください。夫が私に内緒でそんな怪しいマンションを購入していたなんて信じられない!あなたは遺された私たちに破産しろと言いに来たのですか!」と、怒気を込めた震える声が奥様から飛び出してきました。
震える声でところどころかすれていたので、全て聞き取れたわけではないですが、こんな趣旨の内容でした。
これ以降、私が何を言おうと、私の方を振り向いてくれることはありませんでした。
でも、遺されたご家族にとって団信の手続は生命線です。私は簡単に「これだけは必ずお手続ください」と書いた用紙を、団信の手続書類が入った封筒の上に置き、ご自宅を後にしました。
確かに、最愛の旦那様が亡くなられた直後に、投資用マンションの営業マンが自宅に来たら正常な精神では居られないかもしれませんね。。
それで、奥様は団信の手続をされたのでしょうか?
はい、私がその場を離れてから半年経たないくらいに、奥様から私の携帯に電話がかかってきました。
電話に出てみると「半年前は本当に申し訳ないことをした。謝罪も含めて、改めてお会いしたい」とのこと。この奥様の言葉だけで、奥様が団信の手続をされたことがすぐに分かりました。
お会いすると、人生で忘れられない言葉を奥様からいただきました。
「夫が黙って残してくれたワンルームマンションは、私たちへの最高のサプライズとなりました。今の私たちに、生きる勇気を与えてくれています」と。
実際、その一言をいただいたとき、私は涙を流してしまいました。
お子さんがまだ小さく、フルタイムでまだ十分に働けない状況のなか、月に約12万円の遺族年金でけでは暮らしていくのはほぼ不可能です。家賃の支払いもあります。
Aさんは、遺族年金に加え、生命保険で月10万円、ワンルームマンションで月約32万円を奥様に遺されたのです。
私はワンルームマンションの営業はもうかなり長いですが、お客様の言葉で涙が出たのは初めてでした。自分のしてきた仕事を、最も誇りに思えた瞬間でした。
そして奥様から「あの時は本当に失礼なことをいたしました。お持ちいただいた書類で手続したからこそ、今の私たちがあるんです。感謝してもしきれません。」と、改めてお礼の言葉をいただきました。
確かに私たちには営業ノルマもあり、大変なときもあります。が、苦しい時こそ、この場面を私は思い出し、次の言葉を自分で噛み締めます。
ワンルームマンションは、どういう形であれ、必ずお客様のためになる。
今の私は、この言葉を胸に日々ワンルームマンションの営業をしています。この忘れられない経験があってから、不思議と営業成績が格段に良くなっていきました。
Aさんと通っていた居酒屋は今もよく行きますし、フットサルも続けています。Aさんを思い出さない日はないくらい、今もAさんとのお付き合いを続けているような感覚です。
そして、この記事を読まれたオーナーさんの中でワンルームマンション経営をパートナーに伏せている方がいらっしゃいましたら、ぜひパートナーさんに打ち明けてください。最初は戸惑いもあるかもしれませんが、あなたの誠意がきっと伝わります。
インタビュアーによる総評
今回のインタビューは、本当に心に残る内容でした。
今思い返してみれば、私がお会いしたオーナーさんの中に、Aさんと同様、奥様に伏せている方が何名かいらっしゃいました。その方たちに、今日の話をぜひ共有したい、というよりも共有すべきだと思いました。そして、ご家族に打ち明けていただきたいですね。
ちなみに、私の妻は、今でこそ自分自身でワンルームマンションを経営していますが、私が1件目を購入した当初は、反対していました。
それが、ワンルームマンションの魅力を私が伝え続けた結果、今では彼女がオーナーとなっているのです。
この記事を読まれている方の中に、奥様(あるいは旦那様)を説得しようとしているが「どう話せば分からない」「話せば絶対反対される」「このまま話さずに購入すればいいのでは」と、悩んでらっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。
でも、本来は悩む必要なんてなく、素直に話せばいいのです。あなたは本当にご家族のことを考えているのであれば、遅かれ早かれその気持ちは必ず伝わります。
ぜひ、その一歩を踏み出してください。