アメリカ不動産の減価償却は可能?個人の節税対策は不可?税制改正を解説

アメリカ不動産の減価償却は可能?個人の節税対策は不可?税制改正を解説

この記事では、アメリカ不動産減価償却について、個人や法人での節税対策の可否や国税庁による税制改正の内容、日本とアメリカでの減価償却の比較などについて紹介します。

アメリカの不動産は、購入費用の減価償却が節税対策となるため高所得者を中心に人気でしたが、税制改正後は個人での節税対策としては活用できなくなっています。一方で、アメリカでの不動産投資にはそれ以外にもメリットがあるので、多くの投資家から現在も人気です。

アメリカ不動産への投資を検討している方へ、アメリカ不動産投資が人気の理由や法人での減価償却の取扱いなどについて紹介し、記事の終盤ではアメリカ不動産投資が向いている方の特徴についても解説します。

アメリカ不動産は減価償却が可能?

アメリカ不動産は減価償却が可能?

不動産投資において購入費用の減価償却は節税対策となりますが、アメリカ不動産は減価償却が可能かを疑問に思っている方も少なくないでしょう。

ここでは、アメリカ不動産における減価償却制度について解説します。

減価償却制度について

減価償却制度とは、固定資産の取得費用を購入時に一括計上するのではなく、耐用年数に応じて分割で計上することができる仕組みです。不動産などの固定資産は、時間の経過とともに劣化して資産価値が徐々に減少することから、減価償却が認められています。

減価償却の計算方法は、毎年一定額を均等に計上する「定額法」や、一定の償却率を用いる「定率法」の2種類です。ただし、中古資産については「簡便法」により、耐用年数の20%に相当する年数で減価償却することができます。

減価償却制度により、一括計上と比べて税負担の平準化やキャッシュフローの改善に効果的です。また、別の所得と損益通算することで、所得税や住民税、法人税の圧縮にもつながります。

税制改正により個人の減価償却は不可

国税庁による令和2年度の税制改正では、海外不動産所得についてルールが変更されました。具体的には、海外中古不動産について簡便法により計算した減価償却費に相当する損失は、不動産所得以外の所得との損益通算が個人では認められなくなりました。

税制改正前であれば、アメリカの中古不動産を個人で購入して簡便法で短期間に減価償却することで損失を発生させ、給与所得や国内不動産所得などと損益通算することで、取得税や住民税を圧縮することが可能でした。

しかし、税制改正後では、高額所得者がアメリカ不動産を購入して減価償却による損失を発生させたとしても、国内の所得税や住民税の節税にはつながらなくなっています。

法人は引き続き節税可能

令和2年度の税制改正により、アメリカ不動産による個人の節税はできなくなってしまいましたが、法人では引き続き節税が可能です。

租税特別措置法第41条では、アメリカ不動産の減価償却について「個人は」と対象が限定されており、法人は対象とされていません。そのため、法人でアメリカ不動産を中古で購入することで、簡便法により計算された期間に按分して減価償却することが可能です。

また、所得によって税率を適用する個人とは異なり、法人では所得全体に税率を掛けます。そのため、事業所得とアメリカ不動産での減価償却による損失が相殺され、法人税などの節税が可能です。特に、所得800万円で法人税率が変わるので、より大きな節税につながります。

アメリカ不動産投資が人気の理由

アメリカ不動産投資が人気の理由

アメリカの不動産投資は、税制改正により個人での減価償却ができなくなりましたが、それでも多くの投資家から根強い人気を誇っています。

ここからは、アメリカ不動産投資が人気の理由について紹介します。

法人であれば節税効果が高い

アメリカでの不動産投資は、法人であれば節税効果が高い点が人気の理由です。

税制改正によって、個人でのアメリカ不動産投資は減価償却による節税ができなくなったものの、法人は引き続き減価償却による損失と事業所得との損益通算が適用できます。

そのため、簡便法により短期的に減価償却費を計上することで、事業所得に課税される法人税を圧縮することが可能です。

また、日本の約25倍もの広さを誇るアメリカでは、不動産における価格の約8割が建物価格です。土地は減価償却の対象とはならないので、建物価格の高いアメリカ不動産は節税効果が高いといえます。

さらに、アメリカでは中古不動産の需要が高く、築30年以上の物件でも高額で売却できる点も魅力です。

不動産の選択肢が豊富で高い需要がある

アメリカの不動産投資では、購入できる不動産の選択肢が豊富で高い需要がある点も人気の理由です。

広大な土地を持つアメリカでは、都市部の高級コンドミニアムや郊外の戸建住宅、商業施設や大規模工業用不動産まで、幅広い物件が存在しています。そのため、投資家としては自身の投資目的や資金計画に合わせて、最適な投資案件を見つけることができるでしょう。

また、アメリカでは人口増加や経済成長を背景に、高い賃貸需要を誇っています。特にアメリカ南部のテキサス州やフロリダ州などでは、温暖な気候と多くの企業進出による求人環境の良さなどが影響し、年々人口が拡大傾向です。その結果、住宅需要も拡大し、不動産価格が上昇しています。

不動産取引の透明性が高く経済が安定している

アメリカでの不動産投資は、不動産取引の透明性が高く経済が安定している点も人気の理由の一つです。

アメリカの不動産市場は、世界的に見ても市場規制や情報開示などの環境整備がなされており、投資家が安心して取引できる市場といえます。

また、不動産価格や取引履歴、登記情報などが公的データベースで確認できるので、不正リスクも低いです。2024年度版「グローバル不動産透明度インデックス」では、アメリカはイギリス、フランスに次いで3位を記録しました。

さらに、アメリカ経済は長期的に成長を持続しており、不動産市場も住宅や商業不動産ニーズの高まりを背景に安定した需要があります。そのため、不動産投資家からは非常に好評です。

国税庁による税制改正前の海外不動産の減価償却について

国税庁による税制改正前の海外不動産の減価償却について

令和2年度に実施された税制改正により、海外不動産の減価償却が大きく変更され、個人での節税対策としての利用ができなくなりました。

ここでは、国税庁による税制改正前の海外不動産の減価償却について解説します。

中古不動産に簡便法を用いることができた

国税庁による税制改正前の海外不動産に対する減価償却では、中古不動産に簡便法を用いることができました。

簡便法とは、中古資産における減価償却の耐用年数を算出する方法の一つであり、資産の経過年数に応じて使用可能期間を見積もる考え方です。例えば、中古資産の経過年数が法定耐用年数を超過している場合には、法定耐用年数の20%に相当する期間を耐用年数とみなして考えます。

これにより、築22年の木造住宅のケースでは簡便法による計算で耐用年数が4年とみなされ、4年間で取得金額を減価償却することが可能です。そのため、新築の不動産に比べて中古不動産のほうが高額な減価償却費を計上できるので、短期的な節税には効果的でした。

給与等の所得と損益通算できた

国税庁による税制改正前の海外不動産に対する減価償却は、給与などの所得と損益通算できていました。

損益通算とは、個人の所得について同一年度内に発生した利益と損失を相殺することであり、事業所得や不動産所得、譲渡所得などで赤字が発生した場合に、給与所得などの別の所得と相殺する仕組みです。

税制改正前は、海外中古不動産を購入して簡便法による減価償却で損失を発生させ、給与などの所得と損益通算することで、所得税や住民税を節税する手法が流行っていました。

しかし、国税庁による税制改正により、個人での海外不動産における減価償却による損失は損益通算の対象外となったので、海外不動産の減価償却による節税スキームは利用できなくなっています。

日本とアメリカの減価償却の法定耐用年数・計算方法を比較

日本とアメリカの減価償却の法定耐用年数・計算方法を比較

アメリカの不動産投資を行ううえで重要な減価償却ですが、日本とアメリカで方法が異なることを知らない方もいるでしょう。

ここからは、日本とアメリカの減価償却について、法定耐用年数や計算方法を比較して解説します。

日本の減価償却方法

日本の減価償却方法では、法定耐用年数が建物の構造と用途に応じて決められている点が特徴です。

建物の構造には「軽量鉄骨造」「木造」「重量鉄骨造」「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造」があり、用途には「住宅用」「事務所用」「店舗用」があり、それぞれの組み合わせで法定耐用年数が定められています。

また、中古不動産の場合には原則として耐用年数を見積もって設定しますが、簡便法で計算することも可能です。そのため、日本の減価償却方法では、アメリカに比べて中古物件が短期で償却できてしまう点が異なります。

アメリカの減価償却方法

アメリカの減価償却方法では、法定耐用年数が利用目的だけで決められる点が特徴です。

具体的には、居住用の不動産は耐用年数が27.5年、非居住用の場合は39年と定められてます。日本の減価償却方法に定められている建物の構造は、アメリカでは耐用年数に影響しません。

また、中古不動産であっても法定耐用年数に変わりがない点も特徴です。築年数に関係なく、取得した時期を始期として居住用であれば27.5年、非居住用であれば39年間で減価償却していきます。なお、アメリカの減価償却は定額法を採用しているので、毎年同額を償却します。

個人での減価償却が不可になってもアメリカ不動産は人気を維持?

国税庁による税制改正により、個人では減価償却による節税スキームが活用できなくなったため、アメリカ不動産の人気は冷めるものと予測されていました。しかし実際には、現在でもアメリカ不動産は人気を維持しています。

理由の一つとして、法人では引き続き同じスキームを活用できる点が挙げられます。法人であれば、簡便法による減価償却費の損益通算は認められているので、節税効果を得ることが可能です。

また、簡便法を利用しない減価償却で長期的に節税するスキームも利用されています。アメリカの不動産価格は建物部分の割合が大きいので、簡便法を利用しなくても一定額の減価償却費が計上できるので、節税効果を期待できるためです。

アメリカ不動産投資が向いている人の特徴

アメリカ不動産投資が向いている人の特徴

最後に、アメリカの不動産投資が向いている方の特徴を紹介します。

国税庁による税制改正により、個人での節税対策としては活用できなくなりましたが、それ以外のメリットを活かせる方にとっては魅力的といえるでしょう。

アメリカに在住または移住を検討している人

アメリカ不動産投資は、アメリカに在住または移住を検討している人に向いています。

アメリカでは、米国移民法に基づく投資永住権プログラム「EB-5プログラム」が定められており、一定金額以上の不動産投資を行うことで投資家ビザを取得することが可能です。

投資家ビザは永住権なので有効期限がなく、入学制限や就労制限もありません。そのため、旅行者ビザなどと比べても優遇されているといえるでしょう。

アメリカに在住や移住を検討している方であれば、不動産投資による利益を得ながら永住権も得られるので一石二鳥です。

現金購入に抵抗がない人

アメリカ不動産投資は、現金購入に抵抗がない人にも向いているといえるでしょう。

不動産を購入する際には、金融機関から資金調達を行うのが一般的です。しかし、海外不動産については、購入資金を融資している国内金融機関は限定的で、融資審査も厳しくなっています。

これは、海外不動産市場に関する情報やリスクが国内に比べて不透明である点や、日本の担保評価制度が海外では一般的でないことなどが理由です。

また、現地の金融機関で融資してもらう方法もありますが、日本に比べて高い金利となるケースが多いので、多くの投資家は現金購入しています。

リスクを取る覚悟がある人

アメリカ不動産投資については、投資におけるリスクを取る覚悟がある人におすすめです。

国内での不動産投資とは異なり、海外では市場リスクや詐欺などの不正リスク、不動産管理リスクなどが高まります。また、為替リスクや政治経済の変動リスク、法務・税務リスクなども海外投資ならではの懸念点です。

さらに、文化や商慣習なども日本とは大きく異なるので、トラブルや思わぬ損失が発生する可能性も十分に想定しておかなければなりません。一方で、海外不動産投資ならではのメリットもあるので、リスクを取る覚悟を持って投資しましょう。

記事のまとめ

アメリカ不動産の減価償却について、節税対策の可否や税制改正の内容、アメリカ不動産投資が向いている方の特徴などについて解説しました。

アメリカ不動産投資は、減価償却を損益通算するスキームが節税対策として人気でしたが、税制改正により個人での減価償却ができなくなっています。

一方で、アメリカは不動産需要が高く幅広い不動産に投資できるので、多くの投資家から根強い人気があります。アメリカに在住を検討している方や現金購入に抵抗がない方は、リスクを十分に理解したうえでアメリカ不動産に投資してみてはいかがでしょうか。

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